お受験の願書、一般的には春~夏にかけてが下書きを推敲する時期で、そして9月には清書を完成させる時期…というのがよくあるスケジュール感ではないかと感じます。
となると、まだこの時期はゆったり…と思ってしまいがちですが、わが家も甘かった…!
特に、幼稚舎と初等部(横浜初等部)への出願を考えられているご家庭は、一日も早く福澤諭吉先生の著作を手に取ることをおすすめします…!
慶應義塾幼稚舎の願書
慶應義塾幼稚舎の願書、なんと言っても特徴は「福翁自伝」の感想を求められることでしょうか。
書かなくてはいけない他の項目は至ってシンプルなだけに、その特徴が目を引く…!
いろいろな私立、国立小に出願しましたが、特定の書籍の感想を求められるのはココだけでした。
我々夫婦の勤める会社にも、慶應義塾幼稚舎出身の同僚が在籍をしているのですが、同僚曰く
幼稚舎では、「福澤先生の教えを学ぶためだけの授業があった」と話をしていたことからわかる通り、
福澤諭吉先生の考え方は、慶應幼稚舎としての根幹をなす部分であり、
そこに共鳴していただけるご家庭に来てもらいたいということだと察しました。
ちなみに、同僚である先輩も後輩も「先ず獣身を成して後人心を養え」の教えの通り体育会系。
アイディアマンであったり、発想が枠にとらわれないといった感じで魅力的な二人ですね〜。
慶應義塾幼稚舎の願書の注意(左側)
福翁自伝のことは一旦置いておいて、まずは願書の部分の注意として言われたことを振り返ります。
前回までの記事に書きましたが、願書を書くときは、大前提として「学校の用意した記入例」に倣うことが求められています。
真偽は不明ですが、お教室の先生に言わせると、「記入例と同じ形式で用意できるかということも、先生たちは『入学後に学校の方針に従ってくれる親御さんか』を判断するツールになる」とのこと。
たしかに、千人を超える家庭からの出願を集める学校からすれば、まずは願書で指示に従ってもらえない家庭はご遠慮いただく…となるのも無理がない気もします。本当に、ESみたい。。
そこで、幼稚舎の記入例。
珍しく、住所表記は「○の△の□」という書き方でした。
なんとなく、略式っぽくて避けがちな書き方ですが、一応こうして書きましょうとの指示でした。
慶應義塾幼稚舎の願書、鬼門は「読書」?(右側)
慶應出身者のご家庭であればなじみがあるのかも知れませんが、そうではないご家庭にとっては、「福翁自伝」を読まなければいけないというハードル、相当高いと感じます。
私たちも決して読書が嫌いな夫婦ではないのですが、読み切るのが結構大変でした…。文化レベルをばらすようで恥さらしですが、ページの進まないこと進まないこと…。
なんだろう、独特な書き方が普段の読書のレベルとは全く違いました。
おすすめとしては、まずは歴史マンガなどで福澤諭吉先生の生涯や功績をひととおり頭にさらっと入れておき、自伝で該当の部分を探す…という方法です。
「こんなことしてたのね!」「これは我が子にも身につけて欲しい力!」という部分が必ずあると思うので、まずそれを探します。
その中で
・福澤諭吉先生の「学び」に対する姿勢について印象に残ったこと
・福澤諭吉先生が乗り越えた試練の中で印象に残ったこと
を見つけ、あとから自伝と照らし合わせて探すようにすると書きやすいと感じました。
某幼児教室のセミナーでも、
「自伝を頭から読もうとしなくてもよい」
と冒頭から説明があり、ポイントとしては
「福澤諭吉先生の学問に対する姿勢にどう共感し、どのレベルで理解できているのか」ということを問われているのだということでした。
慶應義塾幼稚舎では、親の面接等で志望理由や学校への想いを伝える場がないため、親は特に願書を通して幼稚舎への理解度と想いを伝えるしかありません。
巷での、縁故がないと…or出身者でないと…などの議論は親として気になる部分ではありますが、
まずは、親としてできる願書をしっかりと仕上げるための準備が大事な学校だと思いました。
「福翁自伝」と志望理由をリンクさせる
慶應義塾幼稚舎の願書は、右側が「自由記入欄(23行)」「福翁自伝で感じるところ(11行)」を書く様式になっています。
ここで、もう一つセミナーで「なるほど!」と感じたこと。
「福翁自伝」の感想部分に書いたことと、上の自由記入欄に書く志望理由の内容をリンクさせるということでした。
たとえば、福翁自伝の感想で触れる部分が「学びに対する姿勢」に関することならば、家庭ではどう教育に向き合ってきているのかをきちんと書く。
また、「福沢諭吉の好奇心、探究心」に関する部分を抜き出すならば、自由記入欄にも関連することを記述する。
当然といえば当然ですが、こうして考えると、福翁自伝の読み方も変わってきますよね。
改めて、「福翁自伝」のポイントになりそうなところとしては
・学問を究めたいとする自分と、母との関係(時代背景があるなかで、学問を続けたいと願う息子をサポートした母の気持ち)
・適塾での学びに対する姿勢(実験道具を手作りしたり、貪欲に「知」へ向き合う)
・蘭学から洋学へ転換するきっかけとなったこと(新しい世界へと飛び込む勇気、知への情熱)
・後進を育てようとする心持ち(塾開設、そして我が子への接し方)
のあたりかな~と感じました。
あくまで私見ですが…。
お教室などで聞いたところによると、
・蘭学から洋学へ切り替えるときの姿勢
・衰えない知的好奇心
・母のサポートあっての学問
というところにフォーカスするご家庭が多いようです。
形式変更に注意
幼稚舎と横浜初等部の願書で、形式は違えど毎年課題になる本は「福翁自伝」でした。
ただ、まさかの2019年入試で、横浜初等部は課題を変えています。
課題が「福翁自伝」から、「伝記 小泉信三」に変更されたのです。
前年までは福翁自伝を読んで自立に関することを記述していたのに、いきなり本は変わり、内容も慶應義塾の塾風に…。
こうしたことを考えると、やはり事前に「慶應義塾」そのものへの理解、愛着は高めておくことに超したことはないと感じます。
第一志望の方なら当然かもしれませんが、「あわよくば受けたい!」という方たちにとっても、いきなりのことで焦らないように、とっつきやすいマンガでもなんでも、慶應理解を進めておくといいと感じました。
※8/24追記
★2020秋実施試験の横浜初等部の願書のお題書籍は下記になったとの事(2年連続の変更…)
↓直前に購入しようとして、在庫切れが…とならないように早めの購入がオススメです。
(最悪の場合、紀伊國屋書店やkindle等の電子版という手もありますが、願書にあたっては紙ベースが良いかと)
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